LOST

本能が訴える。 君が欲しい ただ、それだけ。 【lost Xmas.〜彦ver〜】 「おい。」 「……」 「おい」 「……」 無視だ、無視。 拒絶の言葉なんか聞きたくないの。 そういう意味を込めて、俺はシュンを抱きしめる腕の力を強くした、 シュンは呆れたように溜息をつく。 それでも俺は離さない。 今日はダメ。 部屋から一歩も出しませぇん。 何でって、独占したいから。 今日はダメ。 や、今日見限らず嫌だけど。 あんまり醜い独占欲はシュンに知られたくないから我慢。 だから、今日だけ。 クリスマスの今日だけは、 シュンの時間全てが欲しいんだ。 「一日中こうしてるつもりですか。」 「だって。」 すぐそこ。 ドアの向こうには、きっと奴らが待ち構えてる。 「だからって一日中この体勢は尻が痛いです。」 「じゃぁ、寝る?」 「…………お前が言うと、卑猥に聞こえる」 「むしろ〜、そっちでも俺的にはぁぜぇんぜん、オケーょ。」 今も理性ぎりぎり。 すぐそこにはシュンの耳。 つーか、体。 弄りたいのやら、 舐めたいのやらをチョー我慢してる俺。 偉くねぇ? 実は既に半勃ち状態。 「(ぞくっ/悪寒)……ヒコ、今変な事考えてるだろ。」 「……アハッ」 シュンは勘が良いからすぐに見破られる。 や、恋愛云々にはかなり鈍いけどね。 告白だって、 何度も何度も本気だってことを主張した。 俺はぁ、意外かもいんないけど、 誉やミヤみたいにタラシではない。 だって、俺の体に触れて良いのはシュンだけなんだ。 シュンを見つけたその時から、俺は自慰しかしてない。 …考えてたらムラムラしてきた。 「シュン…」 「何?」 「今日はぁ、クリスマスーだぁょ。」 「はい。」 「プレゼント…」 「僕は時間をあげてますよね?」 「うん、だぁから、俺からシュンに。」 「……(←聞きたくない)」 「忘れられない夜をあげる。」 「っ!!!????」 据え膳食わぬは男の恥。 え、たべたヨ? 可愛かった。 啼き声とか、反応とか、啼き顔とか。 「…腰痛い…」 「だってぇ、シュン可愛すぎて止まンなかったぁの」 「初めてだったのに…」 「ごめんねぇ?」 初めてだって。 かぁいーの。 初めてなのに腰めちゃ振ってたし。 最高のクリスマス。 「シューン、好き、大好き、愛してる」 「……お前、ずるい」 ウン、知ってる。 「メリークリスマス。」 「…メリークリスマス。」 二人揃ってベッドの中で笑い合う。 君の体には俺が残した紅い所有の証。 俺の背中には君が残した君の痕跡。 嬉しくて、 本当に嬉しくて、 もう一度味わいたくてねだったら殴られた。 でもね、嘘なんかじゃない。 どうしようもなく、 君が欲しい。 -END-